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ゆるっとおたく活動してるちよこのブログ。乙女ゲームを中心にゆるゆる更新。アニメや漫画もすき。おしゃれも食べることもすき。常にときめき追いかけて生きています。

時計仕掛けのアポカリプス フルコン感想

 

時計仕掛けのアポカリプス、フルコンプの感想です。非常に楽しんでプレイさせていただきました。

 

時計仕掛けのアポカリプス

時計仕掛けのアポカリプス

  • 発売日: 2021/04/22
  • メディア: Video Game
 

 

 ※前半(~キャラ別)ネタバレなし

 

 

 

はじめに

 

「バッドエンドからはじまる物語」というキャッチコピーに惹かれて情報がでてどれだけ楽しみにしていたことか。この時アポはワタシの大好きなシャレマニ制作スタッフさんというのも楽しみにしていた要因の一つです。

好みの傾向にあるファンタジーな世界観な上、光を求める物語。堪能させていただきました。

 

 

推し(好き)ポイント   

 

✓多数ある謎が一つ一つ明かされ惹き込まれる

真相√で全て明かされるわけではなく、各√でそれぞれ強く絡んだ謎が明かされていく過程は思わず次へ次へと進めたくなります。公式で推奨していた攻略順であるルデル→リアン→クアト→ジル→ユナカでプレイしましたが、これが一番綺麗な形かなと。(一部攻略制限あり)

 

✓√の繋がり、設定の細やかさ

一つ一つもちろん完結しているのですが他の√をプレイすることでキャラクター、物語への解釈が深まるのがとても良かったです。また、少し調べると神話や参考にしている国のモチーフ等と作品の絡め方も楽しめるのも好きな人は好きだと思います。散りばめられているものは沢山ある割に、お話としてはまとまり感があるのも好きなところです。

 

✓主人公の成長、意志の強さ

何も知らない自分を愚鈍だと愚かさを悔やみ、バッドエンド回避のために懸命に場合によっては手段を選ばなくなるヒロインは頼もしく凛々しさを感じます。ワタシはとても好きなヒロインです。

 

 

惜しい(注意)ポイント

 

✓とにかく頭をつかう

単純に萌え要素を摂取目的にしている場合は物足りなく感じそう。あと噛み砕くのに疲れる。その疲れは個人的には心地よいのですがプレイするぞ!という労力はいりますね。

 

✓痛みを伴うエンディング

程度はあれど、ワタシの価値観だと全てそうだと思います。

 

 

上記2点、惜しいというより注意という点で挙げました。

 

 

もしファンタジー色が苦手で購入に足踏みしていらっしゃる方がいたら、興味があるならぜひ手にしてほしいと思います。タイムリープ、神話、地下の街となかなか凝った作品ですが笑えるし泣けるし切なくなるしまとまっていること、何より強くあろうとする主人公と影響されるキャラクター達の行く末を見守って欲しいです。

 

 

ひとこと

 

ラチア・フィーリッツ

バッドエンドからはじまる物語にこの主人公あり!「愚鈍」な自分から脱却していく過程にある強さと必死さがすごく素敵な女性です。目的を叶えるために考えて手段を選ばない様子は爽快感すらあります。パートボイスがもったいないと思うくらい。高めで甘めな声は好みが分かれると思いますがワタシはプレイ終えたら納得しました。

鈴代さんの声だから表せる柔らかな幸福や凛々しさ、嫌味っぽさがあるように思いました。 

 

ルデル・クロイツ

彼の√にとどまることなく他√プレイするたびに好きが積もる

 

リアン・イェブラム

拗らせ男子、だがそれが良い。声がえっち

 

クアト・ヘルトリング

たっいっぷー!塩と砂糖のひと。クアラチは沼

 

ジル・ハニッシュ

不思議ちゃん?いやいや。男です、彼、男です!ジルラチも沼

 

ユナカ・ギースベルト

なにもいえない。敢えていうなら幼なじみバンザイ※一部ユナカ視点で物語が進むのですが、これがとってもよい

 

 

キャラクター別感想

 

※以降ネタバレ

※攻略順

 

 

 

ルデル・クロイツ

 

こんなにも安心させてくれる絶対裏切らないキャラクターってここ最近の作品では希少ではないのでしょうか。それくらいラチアがタイムリープしていつもと行動が異なり、様子がおかしいにも関わらず無条件に信頼してくれて、彼女の救いになってくれて。ラチアが作中で表現していたように私も彼はお布団のような心地良さを与えてくれる人物だと感じました。不安と絶望を抱いて足掻く彼女にとってどれだけの励みと安らぎになったか。

「君に助けてもらえるなんて、ワクワクするね」とまで言ってくれるのルデルだなぁ。

 

共通√でルデルはユナカの気持ちを知っているのが分かったので遠慮する場面があったりするのかなと考えていましたが、それよりも兄のアンバーに対しての勘違いになるとは。

クロイツ家が普通に怖い。指導役の選び方も家族としては扱わないという方針だったり・・・これ街の人たち完全周知とまでいかなくてもラチアが知ってるくらいだから知識としてそういう部分大人は分かってるわけですよね?その慣習のあり方を変えようとしない世の中ってとこがもうマインドコントロール的な何かを感じます。違和感持たせないように説明してきたんだろうなぁ。

四肢に問題がないと指導役にはなれないというしきたりもヌアザの神話が絡んでるどころか軽く検索するだけで絡まりまくってるのが面白いので「へ~~」ってなりたい方にお調べするのおすすめしたい。

 

さて、話をもどします。彼の√でキーとなるのは兄のアンバー。

リアン曰く、「愛や優しさは持ち合わせているがあいつにとって信頼に直結しないもの。ルデルに対して愛情はあるが信用はしていない」らしいですが・・・2周目で殺された結果をみれば確かにアンバーにとっての重要度は愛情<信用だということ。実行犯はリアンですが。指導役になるためにオルビンに引き取られてそういう教育を受けて育てられたのだから疑り深い考えになるのは仕方ないけれど、同じ環境下で育てられたルデルを思うと不憫で可哀想。しかしルデルには幼馴染がいたから・・・!もしいなかったらアンバーのようになっていたのかもしれませんね。

 

ユナカがルデルに「お前の自尊心がお前のために使われないことは昔からよく知ってるが、そうやって身を引いてばかりいたら、自分の欲しい物なんて永遠に手に入らないからな」って言うのつまりルデルは身を引く癖がついてるし、想いが通じた後半、「今も、きみと同じになれた気はしない。でも、きみとなるべく同じでいたいと思うんだ」ってラチアにあるものが自分になくて欠けてる感覚があるってことだし・・・ほんっと彼は思わぬダークホースというか爽やかスパダリ兄属性幼馴染の仮面の下になんて闇を抱えているんだ。

 

指導役は結婚できないからそういう感情にも乏しのが分かるシーンが、ずるい。「将来的な繁殖を視野に入れた契約関係にあるのかと」「うーん、でも。クアトさんの疑問はもっともだな。ラチア、俺達付き合っていると思う?」「あぇっ!?」「ん?ああ、まずかったかな…普通の恋愛過程というのが分からなくて。ごめん」クアトの言い回しに笑ったけどそのあとの会話笑えん。いや笑ったけどですね。そりゃ分からんわな~~!人と比べるものじゃないけどこれも欠けてる一部だと感じました。

 

ハピエン、オルビンに罰が与えられないのは不服だったけどルデルの過去にとらわれるより前に進みたい気持ちを聞いたらに何も言えないっ!!「あの人が俺の父親だったことなんて一度もなかった。今さら人並の情を求めたりはしない」もう・・・ルデルの闇覗くと頭痛い。地上での未来、ラチアから沢山の感情をもらって与えて穏やかに過ごしてください。

ちなみにジルとはまた違うオープンスケベえが意外ですきですうふふ。

 
それと!!ラチアとルデルが出会ったエピソード。ルデルが救われた大事な一幕だったんだろうな。意地悪で聞いたという「きみにはたくさん友達がいるけど、信頼出来る大切な友達は本当にいるのか」に笑って答えたラチアの「じゃあ、あなたが大切な友達になって」。この語りをバッドエンドのラチアの死に際にもってくるのずるい無理愛しい。


頭の整理MEMO

*事故の原因はクラウの剣(後に急性のハイドラ病になることが判明)

*共通分岐でルデルを殺害したのはアンバー(リアン)

*種火配りは女性のみ

*クロイツ家のしきたり

・指導役ではない方は殺される

・結婚しない、子どもは養子をとって争わせる

・四肢に問題がないことは重要な条件

 

 

 

リアン・イェブラム

 

裏がなさそうでしれっと嘘を吐けるし、女性に言い寄られても断らないくせに長居して欲しくないという理由で家にシャワー作ってないし。確かに可哀想な人ではあるけれどそれを知っていたとしても4周目のラチアが彼を殴りたくなる気持ちは察せる

仲が深まれば深まるほどその面倒な彼の性格が露見していくのが面白かったです(笑)

加えて今まで不誠実にお付き合いしてきた彼が本気で愛した女性にはどうなるのかっていうのはリアン√の一つの魅力だと感じました。

洋画のような雰囲気を匂わせる細谷さんのCVの色気がすごかった。

 

何回繰り返しても好きなのがクアト√でもあるリアンクアトの酒場での勝負に加わるラチアの図。

「言い寄られて相手するだけじゃないですか。そこにイェブラムさんの意思はあるんですか?」「どういう意味だ?」「だから…あ…愛はあるのかと訊いているんです」クアトーー!!!
「俺だって恋愛くらい」「ないよな。経験」「俺は伴侶を必要としてないからいいんです」「恋愛イコール伴侶か。年寄りみたいだな」「その発言が不誠実じゃないですか!?」クアトーー!!※リアン√です

「俺が彼女にキツいなら、あなたは甘々じゃないですか。彼女を口説くつもりですか?」「人聞きが悪いな。無闇に口説いだりはしないぞ」「ああ、年下は守備範囲外でしたっけ?学生の子のアプローチは断っていましたよね」
・・・ん?学生??学校っていうシステムある??他にそういう表現見つけられなかったので明確には分かりませんがありそうですね。制服は存在しなさそうですけど。

この後泥酔してたクアトを家まで送ったのにその酔い潰れていたクアトが全然そんな素振りもなく時計台の中にいてラチアと出くわしたのにはぞっとしましたねえ。

 

どの√のラチアも強さが印象に残っていますが、その中でもリアン√の彼女は自分の慣れに恐怖を覚えていたことが印象的でした。

リアンが過去を根掘り葉掘り聞いている無遠慮な自分の誕生日の為に花を贈ってくれたことをきっかけに、そんな優しさにも気付かない自分が恥ずかしい、情けないと心で感じるシーンですね。

記憶している火に呑まれるリアンよりも街の火災を心配している自分の方がよほど呪われている。それでも、前に何もかも疑って進もうとするラチアが凛々しいけどしんどい。

 

そうやって必死に過ごした3周目を他でもないリアンがパイプオルガンを弾くことによって裏切られるわけですが、その3回分の悲劇を憶えているのに彼は自分とのことも全部憶えていない。そのことにより益々強かになったラチアの八つ当たりがごもっとも。「こんなの『あなた』に言っても仕方ないのに」「どこまで本当だったんですか?全然分からない。いつも優しくて、亡くなった人を想って重すぎる後悔を抱えて。後悔があるなら、取り返せばいいじゃないですか。そのためならいくらでも力を貸すのに」大切な人だといってくれたのに大切なことは何も言わない3周目の彼を思い出すとやりきれない。言ってくれなきゃ分からない。


からの「今日のところは帰ってくれ。正直飲みすぎて頭も回らないし、足を踏み外しそうだ」「そうですよね。ごめんなさい。どうぞ座って」「いや、本物の足の方じゃなく…お前は聡いんだか鈍いんだか…」好きww

 

上層へ逃げたあとリアンに愛を告げられて困惑するラチアちゃん面白かった!(愛しているって何事…!?)(いやいや愛、いいじゃないですか。家族愛とか親愛とか色々ありますし…その愛は何だなんて訊くのは野暮でしょう)こゆときのラチアの心の呟き敬語になるの可愛いな。

まー酒場で本気で恋愛するの否定的だったし、自分じゃない方がいいって言われてる彼女からしたら確かに何事状態ですよね。その彼が「これが恋じゃないのなら、何が恋なのか分からない」ですよ。ひょー。

 

ボルツマン、鍵盤、譜面、パイプオルガン。この時点で分かったこと、分からないままなことが混在していてすぐクアト√プレイしちゃいました。

しかしこれでアンバーの事故と火災の原因がパイプオルガンであることについては理解。あと街の在り方とユナカの死因についてか??と呑気にクアト√個別入ると速攻殺されるとか。w

初っ端からバドエンの豊富さに驚きですよありがとうございます。

 

ということで彼女の強さに惹かれる臆病なリアンは愛した女には意外と慎重だが存在がえっち。というまとめにさせていただきます。後日談、「リアンさん雰囲気をえっちにする天才なんですもん」同意〜~!

 

 

頭の整理MEMO

*火災の原因はパイプオルガン(意図的ではなかった)

*共通√時計台で見かけた羽のようなものはクアトが持っていたリトの遺品

*イェブラム、クロイツ、ボルツマン、ヘルトリングの関係

*ラチアの両親の殺害現場に出くわしていた為地上に敏感だった

*ヘルトリングの役割把握(クアト√で深掘り)

 

 

クアト・ヘルトリング

 

攻略前→捻くれ拗らせ塩対応

攻略後→拗らせ自覚するも捻くれ継続塩を舐めると実は砂糖でした対応

 

好きでしょ。絶対好きになるでしょ。

塩対応からの甘め展開はやはり王道ですが好まれるからこそ永遠の王道なわけで。ラチアがラチアである故に好きになったクアトの感情を強く感じられるところがワタシは好きでした。

心が近づくも「不憫だと思うなら。なんで俺を殺してくれなかったんだ?」とヘルトリングに縛られまま谷底へ落ちた3周目を終えてからの4周目。初っ端から強くでるラチアがたまらんです、殺し方、ナイフの扱いを教えて欲しいと乞うラチア!「殺してでも止めて欲しいと頼まれたからです」「誰に?」「クアトさんに」「あなたが誰かを殺すその前に。私が殺してあげますね」あー!すき!ここすき!絶望も苛立ちも決意も込めた台詞。ここめちゃくちゃボイス欲しかった。ガネットに一度だけ守って欲しいという願い出たこともつよつよラチアちゃんで好きです〜。基本的に周回するたびにつよつよになっていくじゃないですか、彼女。その加減がクアト√では他√と比べて(ジルは特殊)パンチが強めでカプ萌えしやすかったですね。

共通2周目で刺されて殺されたことを3周目で「それにしても、呑気で苛立つから嫌いだし殺してもいい、はひどくない?」って言ってしまえるのも彼女らしいけれど、強がることのできる強さを持っているからこそ折れてしまう時はポキッと枝が折れるように頑張れなくなっちゃう子なのかなと感じました。

根本的に敏いから自分が嫌われてる壁があると分かっていながら塩なクアトに臆することなく接する彼女は尊敬できる。私だったら喧嘩腰間違いない、切り返しのボキャブラリー見習いたいです。

 

改めて3周目の酔っ払いクアトの甘めフェイスはずるいでごわす。言ってることやってること矛盾しちゃってるのかわいい。最近ラチアが笑ってないとかしれっと・・・いや割と堂々と?気にかけてるんだもんね。あと下手くそな絵見せてくるの可愛すぎか!?得意げに見せてくるの可愛すぎか!?その顔であんな子供みたいな絵を。地上でのラチアが落ち込んだ時未来にまた書いてくれ。

「親しい女性なんていらないだろ。きみが、いれば」YES\(^o^)/

 

 このあとで地上への入り口を探ろうと向かって出くわしたのが酔って寝たはずのクアト。リアン√のぞわぞわを思い出します。「どうしてあの人(フードの人)が殺され、私は殺されなかったのか教えてください」「じゃあ訊くが、きみになら殺せるのか!?何を考えているのかもっと知りたいと思った相手を、もっと笑顔が見たいと思った相手を。殺せるのか、きみのその手で!!」

ツラい。ここまで言ってくれた彼と結ばれないことがツラい。何周しようとクアトに違いはありませんが厳密に言うと異なる記憶、経験を経ているわけですから周回する度違うクアト。よって3周目の彼とはバッドエンドを迎えているわけですよね。どの√に置いてもですが、ラチアが経験したこと、憶えていることを知らないのって彼女にとってとても辛い現実です。心を寄せた相手がその記憶を持ちえないのですから、ちょっとした私の頭の中の消しゴムな状況。例えが下手ですみません。

ハピエン迎えた男がバドエンの自分に嫉妬すればいいのにって思ったけどそゆのはあまりなかった、残念(性癖の話し)。

 

「きみを困らせた分、しあわせにしてやりたい」「恋人として?」「恋人として。それ以上の存在になって、きみを守りたい」って言って泣くのだめ。クアトの涙には弱いワタシがいる。

「ずっと誰かを守り、救うだけの存在になりたかった。羨むだけで。いつも正しく優しいだけの人間を見ていると、苛立ちが募った…きみのことだ」光を求めているくせに自覚がない男は厄介。

これを言葉に出来るまで、またラチアからすると彼の本音を聞けるまで、とても長かった。この長さは二人には必要な時間で、だからこそまだ足りなかった3周目のクアトがヘルトリングに縛られたまま終わってしまったわけで。

地上へ向かおうとする気持ち=彼女に惹かれる自分を認める行為だとワタシは感じました。

 

火傷を負っても、ラチアまでハイドラ病になっても、それでも掴んだ未来。あれをベストとしてくれたシナリオに感謝です。もっといい未来があるかもしれないと選ばせる選択肢、えもだけどえぐだな〜。ハッピーエンドとはにか?二人が最も納得いくかつ希望を見いだせせる結末がハッピーエンドなのだと考えます。もしかしたらいつか犠牲のない未来にたどり着くかもしれない、それでも目の前にいる貴方と掴んだ未来を進む。これが二人のベストだったように思えたのでワタシは満足&納得でした。

「きみに俺の全部をあげるから…きみの全部を、俺にください」「もっと俺に触れて。もっと、俺を好きになって。俺と一緒にいる未来を選んでくれ」

 

ああ、それと。途中、愛しているという癖に恋人と断言してくれないクアトの、自分がいなくなった時の予防線はっちゃうところが好きでした(笑)

 

後日談のラチア「肌もちゃんと綺麗なままですよ?」んんんん!!素直にならなくても汲み取ってくれる彼女の優しさに甘えるクアトとのやりとりおいしいもぐもぐ!

 

 

 頭の整理MEMO

*ハイドラ病の原因は魔法の火

*ヘルトリングは地上への入り口の門番であり、汚れ仕事(死の不安を蔓延させない為、地上へ興味を持たせないための殺し・街の火災)を担う

*ラチアの両親はカルセドに殺害された

*クアトは幼少期より「レルネアの祝福」を飲用することで魔法の火への耐性を付ける。ハイドラ病を隠している

 

 

 

ジル・ハニッシュ

 

ジル√、ユナカ√と真相部分に近い情報満載で難しい話しが続きましたね。ひとまずそれは置いといて、先に真相√も少々絡めて結末について感想を述べさせていただきます。

ジル√のラチア、「お花ちゃん」ではなく「天使ちゃん」との物語の本当のハッピーエンドはユナカ√の選択肢によるって、鬼畜!でも好き!

詳しくは真相の方で語りますが「お花ちゃん」が自分がガネットに付くことを選んだガネットの救いだったとワタシは考えます。彼(彼女?)にも物語のヒロインに救われる権利はあると思うのです。

で、肝心のジルと「天使ちゃん」。170年です、170年。ワタシなんてまだ30年生きていないのに170年てその何倍も。ジルとの約束と思い出を自分だけでかかえてその日を待つ彼女がジルとの未来を勝ち取れないなんて許しません。ユナカにとっての悲しい結末ではありますが、どちらか選ぶとしたらワタシはジル天が報われる真相②を選びます。だが選ぶ必要はない。

 

ジルはなんだかんだ好きそうだなって思ってた予感が当たりました。好意を直球で伝えられるの弱いんですよねぇ、、顔可愛いくせにちゃっかり男の子なのもツボ。それも打算も下心もありありで、べたべたと!ラチアの作るパンケーキを「きみが作ってくれたご飯が僕の一部になっていく。なんだかとってもえっちな感じじゃない?」って言いながら食べる男、好きすぎる。攻略中に限らず堂々と尻を触るステラワースさんの小冊子、気になる方は是非。なお、みんなえっちです。

 

言葉をそのまま受け取ってしまう、危うい善意でラチアを箱の外に連れ出してしまったジルがだんだんと人間らしさを・・・この場合は取り戻す?で合っているのかな、取り戻していく様子や事の重大さを理解していくのが面白かったです。自分を殺さなきゃ火災は防げないとかそれだけでバッドエンドじゃん。「殺さない」んじゃなく「殺そうとしたけど殺せなかった」ことが選択肢でキーになっているのが興味深かったです。殺さないことは前に進めないこと、という作品のメッセージなのかもしれませんね。

「殺しても大丈夫。もうあの子ときみは別の存在なんだ。きみはそのまま僕と一緒に生き続ける」「でも、私がなのに」「そうだけど、同じ世界に同じ人が二人いるなんて、おかしいでしょ?だから殺して、元通り一人になるだけだよ」「二人にしたのはジルだよ」「ごめんでも望みだとおもった」「私を殺すのが私の望み?そんなわけないでしょ!」「でも、そうすれば街を救えるんだよ」「じゃあ私は元々いない方が良かったんだね。私が死ねばこの街の未来が変わるんだもの。通りで街を救えないはずだよ。私が生きて箱を受け取るだけでこの街はどのみち燃えちゃうんだから…!!」

こんな選択迫られて似たようなきつい現実を経験してきた天使ラチアが、温くて甘いお花ラチアを羨んであざ笑ってしまうのは当然。プレイ開始直後の自分が自分を殺そうとする夢はここに繋がっていたんですね。

 

「どうしてお花ちゃんと呼ぶの?どうして私のことがそんなに好きなの?ジルに何もしてないのに」「きみが花を見つけたのが僕らのすべての始まりだからだよ。あと花みたいに可愛いし綺麗だから。君のことがこんなに大好きなのは…なんでだっけ?忘れちゃった」忘れちゃった。彼の発言全部が刺さってしまう。忘れちゃったんじゃなくて自ら忘れたんだよう。呼び方も栞も好きという感情も全て出会いの記憶に繋っている。卵が先か、鶏が先か。二度目というジル√、なにがはじまりだったのかは分かりえないことなんでしょうが大事なのは結末が救われるべきだということ。

 

ラチアも強かですけど、ジルも恋愛に関して肝が据わってるのは意外なことでした。確信犯的行動が多くその男性らしさには目を見張ります。

突然のキスにはラチア同様驚いたなあ。じゃれてるだけなのか本気なのかイマイチ判断つかなかったのが恋愛したいという気持ちを抱いていることが確実になった瞬間です。「今そんなことも答えを出さなきゃいけないの?」自分を殺すか殺さないか決めなきゃなのにジルのことまで考えなきゃいけなくなって、誰も殺さない、街を救う、ジルと一緒にいる、自分の手でいい方向に向かわせることを崖の前で覚悟を決めるシーンはややヤケクソな風ですが人間だもの、それでいいと思います。

 

それに伴ってワタシがあったら嬉しいなというシーンが実際に描写されていたのは嬉しかったです。それは髪を切るラチアです。箱の外に出た彼女は一周間もすれば元に戻ってしまうようですが、どの作品でも「髪を短く切る」シーンは気持ちを強くもっている女性を表すのにぴったりだと思っていて大好きです。

「私と同じになって。同じ人間になって。私達がずっと一緒にいるために。人形だなんて言わないで同じだって言って。それからあなた自身のことをよく知ってあなた自身の望みを持って。私を好きになるのは、その後。自分のこともちゃんと知らないのに恋なんてできない」「きみと恋ができるならがんばる」「恋しないと、恋人にならないとそれ(キス)も出来ないの?いつになれば出来る?」かわ!!!
「一緒に寝よ?」「やだ。昨日何もしないっていうからベッドに入れてあげたのに、あちこち触ったでしょ」「そんな約束守ると思うきみがおかしくない?」「すさまじい開き直り…ジルがそんなにえっちな子だと思わなかった」「えっちな子」「繰り返さないでくれる?言ったこっちが恥ずかしくなってきちゃった」「お腹を触ったり、腰をぎゅってしたり、脚を絡めたりするのはえっちなことなんだね」下心丸出しw

 

それからラチアはジルに自分以外のことや彼自身の考えを引き出すような質問をすることで自分について考えるきっかけや気付きを与えていて、そうすることで彼自身を知って欲しいという思いを伝えているのが良かったです。

 

期限切れ(箱の所有者がガネットに戻る)で人間の身体に戻っても異なるラチアが存在するから街には戻れない。かといって今を続けてもジルと同じようには永遠に生きられない。でもガネットの決めたルールによりラチアは箱の人形には出来ない。

・・・正直詰んでない?って思いました。ガネットのルールというのは世界を保つために必要なことなのだと考えます。なんでもありだとバランス崩れるだろうし。だから何もしない考える為の170年という時間を欲するラチアですが「街を望む形で救うこと」「救ってくれたジルを救ってあげること」譲れないという条件だけは見失わないラチアがすごい。

 

最初に迎えたエンディングが引き止められて170年の時間を過ごすことを思いとどまり結果ジルを残して死んでしまうラチアだったので号泣しました。置いていくより置いて行かれる描写が個人的にはしんどい。

ラチアの墓前。「あなたに懺悔しなければいけないことが」「私は…本当は、もう一つの未来も知っていました。彼女が170年の時を遡り、あなたとの永遠を手に入れようともがいたその未来のことも」「彼女の望むままにと言いながら、私があの時強く彼女を止めたのは…私がその未来を知っていたから」「彼女の選んだ未来のその先で、あなたはひどく傷付き、あまりに辛そうだった。だから、選ぶべきじゃないと思ったのですが」「しかし…今、こうして振り返ると…けしてこの未来も正しくはなかったと」「やめて!」

ガネットの疎さは同一になった沢山の人物、また長い長い時間のせいだと思います。そんな彼が悲しみ痛々しいジルを見ていられないと思ったから懺悔してしまったのでしょう。痛いな。それとガネットが知っていたという未来は真相①の方でしょうね。

明記されなかったけれどいなくなる、もしくはいなくなった天使ちゃんのことを思い出してしまったのかな・・・彼女のことだからいっそ思い出さないままでいてくれることを望んでいそうです。

 

そして迎えた守るためにジルがラチアを忘れてしまうエンディング。本当のハピエンはまだ先だけれど、もがいて希望を掴んだという意味では確かにハピエン。

「ジル…ここはあなたの目指した未来でしょうか。また同じことを繰り返したとしても、これで良かったと思いますか?」「思わないよ。一回神様を殴ってやんないと気が済まない。僕の大好きな彼女に手を出すのは許さない」「ガネット。多分これからきみはすごーく僕に文句を言いたくなると思うけど、受け付けないから!」
170年前の真面目で知っている彼よりも神経質なジルも良いな。ジル√、ずっと理不尽、犠牲、絶望、そんな言葉が似合う展開が続いていましたが終えた今振り返ると、残っている強い印象は希望なんですよね。そういう意味で彼、彼の√自体希望を残した「パンドラの箱」だなと感じました。

 

真相√ありきの後日談。「彼女の記憶力は最高だった。何かを『記録する係』になれるんじゃないかってくらい」ジルから記録係を引き継いでガネットと共にいるラチアを示唆する言葉に切ないものがこみ上げます。憶えていなくとも体験といて体の記憶として刻まれているものを“永遠”に抱えて生きるのでしょうね。

 

 

頭の整理MEMO

*フードの人物はジル√のラチア

*記録係、観測者、箱の仕組み

(観測されてはじめていくつもの確率の中から確定される。つまり確定する前に特定の日付、ここではおおよそ青い薔薇をガネットから受け取った日に戻ることでラチアは一定期間をやり直し、彼女が納得するor死亡まで未来が確定しないということ。ワタシもざっくりしか把握してませんが「シュレーディンガーの猫」と「パンドラの箱」が合体しているイメージ)

*ここまでの三名(ルデル・リアン・クアト)の√でハッピーエンドを迎えようが絶対に火災が起きたのはラチアとの因果が関係しているから。だから火災そのものを止めようとしたジル√のラチアは箱の外に出る必要があった

*今回で二度目なはずなのに。「私はこれと違う未来をいくつも知っている」「ようやくきみが僕を見てくれてすごく嬉しい」の発言からこれまでの√は可能性のあった未来として箱にカウントされている

*各√で使っていた上層での拠点は事故で谷底へ落ちたジル√のラチアの住処

*ジル√1周目のラチアは「神様のいたずら」により上層の事故にて死亡が判明。ジル√2周目のラチアがジルの助言により「神様のいたずら」回避の為170年の間「何もしない」ように約束する

 

 

 

ユナカ・ギースベルト

 

初恋で家族で幼馴染でなかなか素直になれない優しい男の子。彼の目線で進む前半の物語が甘酸っぱいし可愛いしこんなにラチアのことを想っているんだなというのが伝わってとても良かった。ただ彼からすると相当恥ずかしい内心を知られてしまっていることになりますね。

共通の様子、そしてクアト√で彼が箱を持ちタイムリープしていたことは確実でしたが箱の所有者としては手違いだったから、本来正しい所有者はラチアだったから、だからガネットに殺されていた、というのはなかなかヘビーな死因でした。

「箱はもう使わない、たから殺さないで」の言葉を受け箱なしでバッドエンド回避を試みることになるラチア、やり直しはきかない展開にひやひやでした。

 

「所有者が重複しちゃって、白髪くんの作ろうとした未来と、お花ちゃんが作ろうとした未来と、大きく二つの流れが箱に記録されてるわけだけど、白髪くんはもう所有者じゃなくなったわけだし彼の記録を彼女に見せてあげちゃダメ?」「ジル。あなたは彼女に肩入れしすぎです。この子は『彼女』ではありません」「え?」心臓がぎしぎし鳴った会話。

 

さて、ユナカ。ユナカ~~

恋人同士になれてたのか!それって自分では救えないラチアのために身を引いていて、どの√も彼の悲しい想いの上にあるってことでしょ、つらい。ワタシだけじゃないと思うんですが何度も何度もやり直すのに救えないって展開シュタゲを思い出すしやっぱりそういう話し好きだなと再確認。

 

ユナラチ恋人になった初周の可愛いユナカの可愛いポイント

・一番喜んでもらえたプレゼントは時計。俺の一年分の貯金くらいはつかった。

・プレゼントに喜ぶラチア。「嬉しい。ありがとうユナカ」(その笑顔で俺の方が千倍嬉しいんだが!?)

(パンを口に突っ込まれてしまった。これだからラチアは。可愛い)それは君よ

「食いしん坊カップルだよ」(何だそれ。可愛い。ズルい)君もなんだってば!w

 

悲しいことが起きる前に幸せな展開先に与えられると後のしんどさ倍増。ワタシの大好きなブラハもそんな展開がありましたよ。この手のタイプは落差のせいで傷跡がでかい。好きです!!


ラチアが繰り返していたのは一ヶ月の期間だったけど、ユナカが繰り返していたのは一年以上。これを何度も何度もやり直すのはラチア以上に精神的にしんどいのでは。時間があるからといって優位性があるわけでもなく、繰り返す度に壊される街や大切なひとたち。

「全部嫌になって一度は投げ出そうとしたこと、お前にだけは知られたくなかった。俺が本当はあんなに卑怯で汚くてみっともないヤツだなんて、知りたくなかった」

全然そんなことはないのに。頑張っていたこと、ラチアは知ってるよ、、

 

ラチアが最初から地上へ行かなければならない気がしていたのは託された際に「覚えておけ。火災を防ごうと思っても無駄だ。地上へ行くんだ。大切な人を守るために、お前は地上に行け」という言葉があったから。俺が助けてやりたかったと心の内で零された本音には身を切られる心地でした。しかもこれ忘れて箱の持ち主は自分(ユナカ)だって思い込んだままラチアループに入るんだから・・・はぁ。

 

私に出来るのか。もう箱は使えないのに、ユナカに出来なかったのに。弱気なお花ラチアの前に「そう思うのなら、死んでくれていい」天使ラチアが現れてるの胸熱。
「ガネットは黙っててくれない?私、本当はあなたに言いたいことたくさんあるのよ。でも黙っててあげる。だからあなたも黙って」
自分がこうなるキッカケを与えたことも170年の間にガネットに対して膨れた思いもあったんだろうな。こんなに自分が犠牲を支払って救おうとしているのに、覚悟が足りない自分自身を見ると腹立つよね、文句どころか罵りたくもなるよね。
「感情的になって行動するのは私の笑い癖。もっと冷静になって考えてから動いてよね。…これで最後なんだから」

「分かってる!」

「分かってない。その愚鈍さが、私を殺す。私を。彼を。みんなを殺す」

「あなたは変わらなければいけない。あなたが変わらなければ、未来は変わらない」

「運命の糸を断ち切り、望む未来を手に入れるの」


天使ラチアが自分はユナカと恋人だったラチアだと嘘を吐くことによって、お花ラチアが羨んでしまう様子は楽しかったです。私もその思い出が欲しかっただってお花ラチアちゃん。ん〜!大丈夫、貴方こそユナカのラチアです。

 

ユナカにとっては同一人物たけどお花ラチアにとっては自分じゃない恋人だった女の人なんだもんなぁ。

実は逆も然りで、他√は繰り返すラチアにとっては同じ人物だけど、攻略キャラは違う思い出を持つ別の人でもある。

 

天使ラチアに対して、ユナカが「本当にお前がもう一人のラチアだって言うなら、こいつに死ねって言ったことを撤回してくれ。」「でもって、二度と言うな。お前は誰も殺さない。誰も死なせない。そういうお前を、俺は好きになったんだ」

って言うの、言われた天使ラチアにとっては棘であり救いな言葉かもしれないと感じました。一度自分を殺そうとして殺せなかった彼女には。全部救うと決意している彼女には。

 

意外(でもないかもだけど)にもユナカ√のエンディングは火災の中で心中したバッドエンドが印象的です。というのも、限定版についてる小冊子がここのユナカ目線で好きだったんですよね。

あれはあれで街にとってハッピーエンドではなかったけれど、二人にとって一つのハッピーエンドの形だったと考えています。燃える時計台の中で何度もキスして、触れて。想いあって離れることなく一緒にいられらるんだから。ループで心をすり減らすこともなく、どちらかだけが残されることもなく。

 

だから辛さでいうならば、ラチアが使わないと決めた箱を使おうとしておかしくなっていくループバッドエンドの方がきついかったなぁ。

 

最後に。本編に劣らず後日談でも盛大に思春期男子?純情boy?なユナカがたまらんかったです!俺が毎日幸せにしてやるぜ愛の誓いやプロポーズだってしてやるぜドヤァ(笑)

 

 

頭の整理MEMO

*ラチアの両親はハイドラ病原因と薬の作り方を知っていた

*クリノはラチアの両親の死に際に会っていた

*ユナカがタイムリープを繰り返す日付は2/12。ラチアがユナカに託された最初のループの記憶はお互い保持されなかった。ガネットはラチアを所有者に選び直すために2/26に青い薔薇を渡した。ラチアはこの日をキーに繰り返す

*ユナカの推測

・パイプオルガンは元々爆破するためのものじゃなく地上への扉を開けるためだけのものだったのでは。魔法の火の勢いが増して今の形になってしまった。だから病気も増えていってる

→ それだ!!!

 

 

真相分岐

 

ユナカ√から分岐で入る真相√。天使ラチアとお花ラチアががっつり絡むの面白いけどユナカが一番???ってなるよなぁ、ユナカ視点で二人のラチア相手にするの楽しかったです。
「きみ、まだ白髪くんの恋人してるの?」「そうだけど?」「へー…」「はぁ!?お前なんでそこで意味わからん嘘吐くんだよ!ジル、こいつは俺の恋人なんかじゃねーから!」

聞いて嬉しそうなジルがいとおしいー!!

 

攻略キャラ全員が集合してそれぞれの思いと現実をぶつけあって協力して地上を目指していく様子は真相ならではですね。大団円ではないところが痛いのですが。この時はまだ最後には希望と幸せな気持ちで胸がいっぱいになると思っていたんですけどね・・・うっ。

 

カルセドとオリビンが罰された呼ぶには少々弱い気がしますが、ギムレーとの死を選んだことにそういう人間で良かったなと思いました。本気で街のためだと思ってやってきたことは分かりましたが理解は出来ない。方法があるのに地上に臆して、かつ立場を危うくすることを嫌がって人を殺してまで現状維持を貫いたんですから。

 

「ガネット。あなた本当に冷酷だわ。170年も待ったのに結局消されてしまう私の気持ち…分からないんでしょう」
「箱を使った彼(初代指導役)は世界との繋がりが薄くなり、彼はこの街から消えてしまった。失踪したみたいに。だからもしかしたら毎回そうかもしれないって思ったのよ。そうじゃなきゃ、時間を遡ることの出来る箱なんて、どう考えても神様の領分でしょ!?」

そうきたかという気持ちでした。対価がいるにしても勝手に与えられたものに対してその犠牲はあまりに大きい。

「消すわけではありません。箱と…私と同一の存在にしているのです。そうすることでしかこの世界に留まれない」「色んな人がくっついちゃってるなら、ガネットはいつからガネットじゃなくなっていたの?ガネットと同一?箱を開けて僕を助けてくれたガネットはいったいどこへ行っちゃったの?」「私は私です」

それぞれの言い分が筋通ってるものでどれがおかしいとかおかしくないとかないのが見てるこっちはキツい。箱が無ければ今はないのだし、ガネットだって自分の為に悪意をもって行動しているわけでもないし。

 


★真相結末①「一緒にはいけない」
「あなたは変わった。あなたが変わったから、未来が変わった」天使ラチアにとってこんな残酷なことはない。それでも納得したのは大事なものを守れたから。そして自分自身であるお花ラチアに姉妹のような気持ちを抱いたのかなと思いました。

また、彼女の周りには天使ラチアにとっても大切な人がいます。自分はもはや存在も認識されないのですから、大事な人を大事にしてくれるし彼女も大事にされる。自己犠牲ですが、その想いは尊いものだと考えます。真相②も然り。
「もう少し…もう少しだけ。ダメかな?ガネット」「…ジルの手、こんなに大きかったっけ?」「きみの手を握るために大きくなったんじゃない?」「っふふふ。またおかしなこと言って。でも、そういうところが…」ジルううう!!

どっちのエンディングにしてもジルを想うと叫んでしまう気持ちは変わらない。ジル√でガネットが知っていたという結末はこちらのことでしょうが(ジル√で記述済み)その時ガネットの言葉からジルは天使ラチアとのことを思い出してしまったことが分かります。時アポは全てのエンディングに痛みが伴いますね。

 


★真相結末②「一緒に行く」
天使ラチア生存の結末。ジルがラチアを背後から抱きすくめながら言った「ごめん…ごめん…きみを、行かせたくない」の台詞には手に汗握りました。

約束を忘れて言いというラチアに対して「約束のためじゃない。僕が思い出したいから思い出す」「ずっと手帳に挟んだままの栞も、10月25日の誕生日も、食べ物を美味しいと思うこの気持ちもきみに繋がっているんだよね?きみがどこかにいるんでしょ。思い出す…思い出さなきゃ」「だから僕のそばにいて。きみの未来は僕の未来だ。きみがいなければ何の意味もない」「ごめん…みんなごめん…。僕はこの我儘を、絶対に譲れないんだ…!」

あああ~~ほんとジル!ジルうう!!悲しいことを詰め込まれている現実に立ち向かい続けた彼の√の二人が報われる瞬間。簡単に決められない選択肢に胸が痛かったですが、それでも二人の幸福、永遠を共にできる未来を進める姿を見ることが出来て嬉しかったです。

ただユナカにとっては家族同然の好きな女の子を、その思い出を強制的に忘れさせられるのだからバッドエンド。彼は何か大事なものを忘れている気がしながら生きていくのでしょう。忘れて欲しいと願う記録係になったお花ラチアも切ないです。

 

さて、エンディングに抱いた感想をお話ししましたがガネットについて触れます。彼は時アポ全てのエンディングを知っている存在であることは間違いありません。ここにたどり着くまで「可能性」として見てきた全エンディングの中でも立場上ジルを贔屓目で見てくれたこと、嬉しく思いました。

深く関わった天使ラチアとジルの幸せを願ってくれた真相②は彼にとっての救いだとも感じます。

「ジルも彼女も私の特別でした。消えてしまった未来の一つで二人が死により別たれるのを私は見た。そこはもう二度と味わいたくない絶望の底でした」二人が幸せになってくれることで彼の孤独は少しは埋まったのかなと思う反面、より寂しい気持ちになっているのではないかなと思います。

だからこそ、ここでお花ラチアがガネットと共にいることを選んだことで誰よりもガネットが救われたのではないでしょうか。

どういう存在か知った上で永遠を共にしてくれるひと。天使ラチアを特別に思うように魂が同じ存在であるお花ラチアも彼の特別に違いありません。


話は変わって、ガネットの台詞にこのようなものがありました。「本来であれば箱を使用し未来を選んだ人間は、存在が揺らぎ時間の迷子となり、自然と『箱の中』でも『箱の外』でもない場所に放り出されてしまうのです。ですので箱の使用が終わり、歴史が決定したら…対象が完全に迷子になる前に私は迎えに行くようにしていました」

ではどうして真相√以外のラチアには迎えに来なかったのか。…天使ちゃんが犠牲になっている?というかそれ以外に何かあります?共通√の時点でフードの人影は存在しているのですからどの√においても天使ラチアの存在は確実です。

つまり、各エンディングに置いて天使ラチアがいないジルは明確にバッドエンドでは?170年経っても真相に辿りつけなかった=望む形で街を救う方法が見つからなかった。とワタシは推測します。

考えれば考えるほどジルラチ辛い〜(泣)

 

 

頭の整理MEMO

*「レルネアの祝福」は天使ラチアが開発したもの

*天使ラチアが「神様のいたずら」に見舞われず、ここまでの干渉を許されたのは最後に消される(ガネットと同一になる)から

 

 

余談

 

以下気になって色々調べてみたことの考察未満のまとめ。間違っていても解釈違いでもご了承ください。

ご興味ありましたらどうぞご自身でも神話について調べてみてください。

 

‣「箱」

ジル√突入後すぐにジルの存在の在り方や箱の説明をされた中の神様の話。この人間を創り、炎をあげたいと考えた神様というのはプロメテウスのことですが、実際にこのプロメテウスについての神話とパンドラ(諸説ありですがここでは箱)についての神話は繋がっていることをワタシははじめて知り、上手く結びつけたな、というのがまず感じたことでした。

また「箱の人形」は神話で言う「パンドーラ」が神様たちに創られた人、ということがオマージュされているのかしら。

箱を使った人物にジャンヌダルクの例があったのも面白かったです。

 

‣舞台

物語の中でよく神話が使われているのと同時に、クロイツ家に伝わる「クラウの剣」や「リアの石」、「時計塔」「パイプオルガン」などたくさんの魅力的な象徴的なアイテムが沢山あります。どうも調べてみるとアイルランドが舞台になってるみたいで写真を見た限りギムレーの街並みに似ている気がします。実際に火事で崩壊したり、広い地下礼拝堂なんかがあったみたいです。

印象的だったのは、崖の元ネタもあったことで「モハーの断崖」というハリポタの撮影でも使われた場所。時アポではお墓として扱われた崖が美しい側面があるのだと知ってなんとなく嬉しかったです。

 

‣憧れた女神

ラチアが憧れたという三姉妹の女神。特に未来を司るという三女、スクルド「運命の糸を断ち切り、望む未来を手に入れるの」と未来を掴もうとする彼女を象徴する神様ですね。

しかしこれには未来だけではなく「債務」や「義務」という意もあるようで、なるほどなと頷いてしまいました。ラチアが箱によってもたらされたのは「未来」を選ぶ役割だけでなくそれに対する「債務」や「義務」だったのだと思います。

 

‣ヘルトリング

天使ラチアは「ヘルトリング」を北欧神話「ニルヴヘルに住まうヘル」と表しました。死者の国に住まう一族という意味でしょう。死者の国にもいくつか区分けがあるようで、場所の名を表しているようですが、その位置関係は「ニヴルヘイム」の中に「ヘルヘイム」があり、その下層には「ニヴルヘル」があるらしい。wikiさんによれば。

ヘルヘイムは地獄などを指さない死者が住まうことに対して最下層は冥界であり悪い人間が来るらしい。つまりただの死者ではなく悪者としてヘルトリングを揶揄しているんですね。

 

また、怪物の番犬が存在するという狭義的な意味で「ヘルトリング」は地下の街の番犬の役割を担っていたという意味も込められていそうです。

 

 

おわりに

 

後半にいけばいくほど長い文章量になってしまうのはもうこれは仕方ないと割り切りました。だって後半しんどいんだもん。

正直まだ突き詰めようと思えば気になること沢山あるのですか次のゲームが待っているのでこの辺で区切りをつけさせていただきます。

 

期待を裏切ることなく隅々まで楽しませてくれた作品でした!もう一度いうけれど時アポステラ小冊子ほんと、おすすめです。ではでは。

 

 

ちよこ