あやかしごはん~おおもりっ!~ フルコン感想
あやかしごはん~おおもりっ!~フルコンプしました感想です。素敵な作品でした!
※前半(~キャラ別)ネタバレなし
はじめに
今年のプレイ一作目は好きな予感しかしていなかったあやかしごはんです。料理の描写が丁寧すぎるほど丁寧でおそらくメモれば実際に作れるくらい。お腹、よくすかせてました・・・。
余談ですがハニビ作品強化な2021年にしたいと思っています。
推し(好き)ポイント
✓ぜんぶ
と、言いたいくらい好きな所しか無かったのですがこれでは伝わりませんのでちゃんと書きます。でもそう言いたくなるほどに丸々ささった作品でした。
✓「あやかし」「ごはん」という題材
あやかし、妖怪、人外、つまりは人ならざるもの。そういった題材が大の好物な筆者にとって特別に思える作品でした。サブキャラクターである多くのあやかしとの物語は笑ってしまうものもあれば切なさに胸を痛めるものもあり。人間とあやかしの共存はもちろん、とりわけ特徴的なのはごはん。『おいしいごはん食べればみんな幸せ』、人だろうとあやかしだろうと関係なく誰かと一緒においしいごはんを食べることは素敵なんだよ、ということが物語全体で描かれておりました。
よく泣きゲ―として挙げられるのを目にしますがワタシは敢えてごはんゲ―と呼びたい。泣くという感情は人それぞれですが、ごはんは大抵共通してる感覚ですし、なんといってもジャンルが『ごはんがおいしくなる恋愛ADV』ですからね!
✓人間編とあやかし編と
少女時代編と個別と合わせておおきく4つ(少女編 + 人間編 or あやかし編 + 個別)で構成される物語の進み方が面白かったです。少女編の過ごし方で性格の異なるヒロインとそれに伴って変化する攻略対象。どっちが良いとかじゃなくて、そういう彼女じゃないと恋愛関係に至れなかっただろうなというのがしっくりする部分が好きでした。少しのきっかけや出会いで異なる自分だったのかもしれないというのは現実でもそうかもしれないな、なんて「もしも」を考えてしまいます。
また、周回による変化が楽しめるのも魅力の一つですね。
✓作品の良さを引きたてる音楽とスチルたち
あやごを語るには絶対欠かせないと思っています。儚くて切なくてあったかいあやかしごはんの世界にはカズアキさんの透明感ある美しいタッチがすごく心にぐっとくるし、シーンに合わせられたEDの導入やOPの歌詞や動き、全てがとても大事に作られていることを感じられました。特にOPは大好きで繰り返し見ましたし今後も定期的に見てしまうと思います。桜の花びらと紅葉村の景色、吟の涙が印象深いです。
惜しい(注意)ポイント
✓ヒロインの行動
人間編とあやかし編で性格の違う凛ちゃん。どちらも基本的には好きなのですが、自分は何も力を持っていないにも関わらず危険なあやかしのもとへ突撃しちゃう所があるのは少し気になりました。
が、彼女はいつも人もあやかしも関係なく対話を諦めない女の子です。それはすごく私の中ではしっくりきていて、彼女の武器でもあると感じました。
ひとこと
朱音凛
→誰かを知ることと自分を知ってもらうことそのどちらも大事にしている考え方の持ち主。性格は異なっても少しツンデレっぽい所や包み込むような優しさは変わりません。与えられて知るのか、与えることで知るのかが性格の明確な違い。それと伝えようとする姿勢と言葉はすごく素敵。
犬嶌謡
→「元気でやんちゃ」より「大人でお兄ちゃん」がしっくり
犬嶌詠
→ワタシの好きなタイプのけんかっぷるで大爆発
伊吹萩之介
→友達と恋人の変化がとっっても好き!
花蘇芳
→可愛い可愛い可愛いかわいいいい
芹ケ野真夏
→いいですか、彼は年上の男の人です。にこにこの下にある感情萌え特盛
木邑浅葱
→浅葱・・・浅葱・・・
キャラクター別感想
※以降ネタバレを含みます
※攻略順
花蘇芳
一言でいうとめっっちゃくちゃ可愛かった。これに尽きます。
寂しさを埋めようと学校に通っていることも、猫の姿で凛ちゃんの部屋近くに遊びに行っていたことも、自転車の練習中何もしないのに集合だけはすることも、凛の読む本にさえ嫉妬したことも。同時にその全ては構って欲しい、甘えたい、誰かに必要とされたいという隠れた感情故なのに悲しくなってしまいました。気まぐれといいつつ、心の何処かで「独り」では埋められない感情の穴を持て余していた彼が凛ちゃんにとっての一番を求める恋愛過程がとても好きです。
二人がくっついた後は基本的に猫(猫又)である蘇芳に翻弄される凛ちゃん、という関係なのだろうな~。と思いながらプレイ後、公式のWEBおまけののSS(おおもりじゃない無印の方に置いてあるもの)を読むと、案の定蘇芳に敵わない凛ちゃんがいてすおりんに可愛いが止まらない拍手!
凛ちゃんが彼の孤独や寂しさを感じ取れたのは、かつて似たように寂しいという感情に蓋をして孤独を好んでいた彼女だからこそであって、寄り添えたのもそんな彼女だからなのでしょう。たとえ似ていてもニンゲンとあやかし、絶対に同じ存在になれない彼らが、お互いに分からない部分を分かろうとすること、相手の大事なものを大事に思うこと、そういう優しさにたどり着く軌跡に胸打たれました。
「おれがいようがいまいが、本を読んでいるだろ」「そうね…でも、いつもいるはずの蘇芳がいないと、ちょっと寂しいかな」「……」「さっきも知らない間にいなくなってたから、びっくりした」
ここの顔を逸らす蘇芳の照れ!!照れ!!彼女の傍にいることが自然と当たり前になって心を許すようになって、だからこそ一度許せば相手にも自分を同じように深い所で求めて欲しいという思いが強いことが愛おしい。強気な彼が自分がいると邪魔なのか確認してきちゃうんですよ?凛ちゃんが雨や雪が原因で死ぬこともあるかもねって言った途端傘探しに走り出すんですよ?好きすぎて自分だけを見て欲しくて大嫌いだと言いながら首絞めちゃうんですよ?愛おしいのは運命です。
「くっついていると、もっと触れたくなる」「もっとお前の体温が欲しくなる」「それは…寒いからじゃない?」「そうかもしれないなけどおれは…」「きっと寒くなくても、お前に触れたくなる」
猫だからかすり寄ってきたりくっついてきたりっていうやり取りが多くすごく良かったです。恋人になった後、接吻が上手くなっただろう?と笑顔で言うもんだから天国を見た気がします。
お互いが一番で特別な存在であることがベストエンドでひしひしと伝わり大好きですし、お掃除や家事を手伝ったりすることや、おまけストーリーのご近所さんにぺこりと頭を下げて挨拶する蘇芳にニンゲンらしさを身につけようとする姿勢を感じて心震えましたね。大好きな凛ちゃんといる為だものね。
にしてもどの√でも可愛い連呼してたな・・・ねこっぽい言葉とかなんだかんだ綴くんに弱いところとか。関係のない 日常の一コマの好きだったシーンはこちら。 「謡は肉ならなんでもいいんだろ」「そんな事ねーよ」「じゃあ謡は、どんなお弁当なら嬉しい?」「肉団子ばっか詰まってる弁当!」即答。
犬嶌謡
初見はありがちなやんちゃわんこ(事実、犬)系キャラ。CV下野さんっていうのもそういう元気いっぱいキャラ!って印象を与えてしまっていたのですが、プレイしていくにつれその感覚がガラッと変わりました。プレイ前後で最もギャップを感じたのは謡かもしれない。
頑なに心を開かない凛ちゃんに対してのキツい言葉の中でも特に好きだったのは、凛ちゃんが蘇芳に悪口を言われても言い返さないことに、謡が怒っていたこと。何でも自分一人で完結させてしまう彼女のことをよく見ており、周りが大切にしてくれているのにも関わらず自分が自分を大切にしないのは間違っている、という彼の考え方が分かりやすく表れている。そういう根本的な部分に関しては詠√でも思いましたが、与える印象に反して大人なんですよね。
ただ、おバカさんには変わりないので「よく言うだろうが、犬猫の仲って」「バカが…」「バカだな」「それは…バカだよ、謡」こういう部分はとっても和みました(笑)
お話しとしてメインヒーローらしい王道展開にだったように思います。お互い素直になれないすれ違いとモテる謡と謡のことを好きになる女の子、ラストの戦闘。また、あやかしとニンゲンの壁、つまり寿命や価値観の違いの芯の部分が描かれている点でも同じことが言えると思いました。
矢守さんが苦手なタイプでむかむかっとしてしまった!ガッツリ打算的に清々しくあるならまだ良かったんですけどね!謡と仲良くなりたいが為に凛ちゃん通してわざわざお菓子あげるっていうのは完全に凛ちゃんの気持ち考えてないじゃない〜(涙)取ってつけたように「でも朱音さんと仲良くなりたかったのももちろん本当のことだよ」はワタシとしてはアウトだしそのあとの応援するねって雰囲気も全然!これっぽっちも!信用ならない!
彼女のことは好きになれませんでしたが、彼女がいたことによる凛ちゃんのぐちゃぐちゃな感情は良かったです、惨めで情けない気持ちを吐き出させてくれたケイありがとう。
根暗女とかブスとか、謡は無意識に傷つけ凛は無意識に八つ当たり。あ〜この好きがゆえの分かりやすい感情の横行が楽しかった〜。
そういえば人間とあやかしの恋について相談する場面、吟さんの思いをそのままの言葉で受け取っていたけれども紅葉村の真実を知って振り返るともっと根が深かったんだな、と辛い。大切な人を失っても立っていられたのは思い出と息子の存在があったから。「僕には綴がいる」ってさ・・・
ハピエンはこの先言い合いしながらもバカップルなんだろうなというのが伝わっておまけシナリオと共に幸せでした。
に反してバドエンがなかなか…なかなか。
「オレ、生まれ変わったらニンゲンになりてぇな」「お前と同じ時間を歩むことが、出来るよな」凛ちゃんと共に過ごしたかった思いと、どうか紅葉村ではないどこかで幸せになって欲しいという思いを抱えながら鬼と心中。で終わると思いきや、凛ちゃん行方不明・・・。それはもう天国行きだろうし残された詠が辛い。結ばれず、謡の願いも届かず、詠の失ったもの閉ざしたものの大きさと…全部全部バッド。二人の結末の先の他者の結末を知ることによりひたすら悲しかったです。
関係ないですが謡の部屋には冬なのにTシャツばっかあったのがツボでした。謡らしいな。
芹ケ野真夏
陰陽師の血というキーワードがこのような形で繋がるとは。あやかし編共通√で一生結婚はしない発言してた割りに押し…ではないな、滲み出る好きアピールなるものが強くて(えっ!?こんなに照れもなくこっちが恥ずかしくなるようなこと出来ちゃう人だったの!?)という印象が意外でした。人間編での絡みは全然なかったから気が付かなかったです。
「凛ちゃんが悲しいと、俺も悲しい。凛ちゃんが笑うと、俺も嬉しい」という言葉と共に素でお花をプレゼントし(後に行動理由を知り震え)、束縛するかしないかの話しで「俺は嫉妬深いから彼女が他の男と仲良くしてたらやきもち妬いちゃうかも」とじっと凛ちゃんを見つめながら言ったり(後に実体験と知り震え)、ありとあらゆる後々ブーメラン攻撃がすごかった。単純に好意の表し方へのきゅんで罪深い男認定していたのですが真相を知ってなおその罪深さが増そうとは。
突然ですが、芹ケ野真夏は25歳の大人です。凛ちゃんは17歳の女子高生。声を大にして言いたい。25歳の成人男性が女子高生に膝枕してってお願いするのとんでもなく萌えるのは仕方ないですよね!!!真夏さんのみに許された客観視するとちょっと危なそうな図!!めっちゃ萌えましたご馳走様です!!!加えると【バイクを転ばず停められて喜ぶ25歳男性】っていうのも好感度高い、かわいいな。
思わぬキャラが運命枠で驚きと共に尊さを感じました。てか凛ちゃんだけでなく吟さんとの再会も運命過ぎる。
平安時代は帝が絶対。見染められてしまった凛姫と藤原真夏の一時の恋が儚く一瞬ですごく悲しかったです。出会いのスチル最高だし、一目見た時から彼女に恋をしていたのにその感情の描写が表立っていないのが平安っぽくてなんだか好きでした。好き!恋!愛!というよりも、姫に安心を与えたい、喜んで欲しいという副次的感情が強く語られていたように思います。妬みや嫉妬というの呪いで臥せってしまった彼女は誰からみても寵愛を受けていたのでしょうね。愛されるのが幸せなのか、愛すのが幸せなのか。
彼女の死、つまり二度目の別れで、募らせた深い想いを自覚したことで【彼女を完全に失った絶望】と彼女がいない世界を拒否した【理性の崩壊】がしんどい好き。それでも他者を呪わなかった呪えなかった彼が愛おしいです。まさかここで吟さんの「千年前、彼女を失って、やるせなくて爆発しそうになった感情はどこへ行ったんだ?」って言葉がかかってくるとは。獏~~!!
輪廻転生、ワタシの好きなワード。
あやご真夏さんハピエンお迎え大きな独り言○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ https://t.co/Hyl74VssnH
— ちよこ@ファタモル&FE風花雪月 (@59wizstar) 2021年1月16日
何度も言うのもあれなので貼っときます。
大正時代のお嬢様と使用人や江戸時代のお姫様とお侍さん。人間じゃない時もあったりしてなんて考えています。もしかしたら鳥とか金魚とか花とか、それでも共にいることが許されない運命を辿り続けたと考えるとどうしようもなく切なく悲劇的。
やっと獏の抱えた呪いを受け止めて抱き合う二人のなんと可愛いこと!「……あぁ。ごめん。君にこんな事を言わせて…」「これ以上、どうやって君に触れたらいいか、分からないんだ…」凛ちゃんらのキスが尊いいい好き!この時戸惑っていたのに反し、おまけシナリオでは真夏さんががっついちゃう姿が見られるのでやっぱり根はこっちなんだろうなというにこにこお兄さん。個人的に害とは無縁です、私は控えめですよって雰囲気の男が肉食部分をみせるのたまらなく萌えますのでまさにそれ。
悲恋は魂の巡り自体を終わらせてしまうエンディングでかなり切ない。真夏さん√は物語全体が悲劇特有の美しさを持っていて、だからこそ幸せが艶やかでという感想を抱きました。切なさというと浅葱√攻略前のハピエンで桜の木の前で手をつないでいたはずの真夏さんがいなくなったのも胸がきゅっとなりましたね。先に話しちゃいますが詠√のそれ(3/9)で泣きそうになりました。
翌年のバレンタインデーは愛の籠った本命チョコ送ってね凛ちゃん・・・!
(綴の初めてのバレンタインチョコ凛ちゃんからなの可愛すぎた)
伊吹萩之介
友達から恋人になる過程と落差を楽しめた萩之介√。まだあなた達付き合ってないんかーい!ってなるくらい照れる台詞と反応をするので、何度心の中でつっこんだことか。まだ付き合ってないんです?それで?ってにこにこし過ぎて〜!「エプロン姿の凛も、新鮮でよかったな〜。巫女服も楽しみだ」「…バカ」※付き合ってません
しかしデートの際に「こう言うと失礼かもしれないけど今まで凛のこと、女の子だってあんまり意識してなかったんだ」「でもさっき、おしゃれをした君を見て、一瞬胸がドキッとして…」「ああ、凛も女の子だったんだって気がついたんだよね」「だからこうして、2人で歩くのも、本当にデートって気がして…ってわああ俺何言ってんだ!?」って発言があるんですよね。つまり意識していなかったから可愛いとか会えて嬉しいとか言えたと。いるよねー、意識しだすと顔を赤らめる、【好きな子だと照れてしまう】スキル発動のタイプ。萩之介は照れながらも好き好きを伝えたい!みたいな心が強いので、言葉にして表現するけど照れてなさそうに見せるか隠すかだと思っている。あ、付き合ってからの話しです。
人間編の凛ちゃんは自己評価低めで萩之介√は特にそう感じたのですが、補うかのように凛ちゃんはすごいんだよ、素敵なんだよ、って伝えてくれる萩之介なのでバランス取れている印象。彼女の自分を卑下する発言には怒って欲しい。そんなことしたら俺が悲しいって伝えて、凛は自慢の彼女なんだよって抱きしめて欲しい。
萩之介にあやかしを探したい理由を知ったあと、何気なく言った「気になる」発言に『萩之介に恋をしている』と勘違い(ではないけど)で周りがどんちゃん騒いでくっつけようとしてるのとっても楽しかったです!他の√にはないアプローチ!バリバリの棒読みで今日のお昼は裏山の気分って二人きりにしようとしたり(笑)「いいか、ぼた餅。男はここぞって時の度胸が大事だ。決断を間違えるなよ?」この時の蘇芳がすごく楽しそうでワタシはとっても幸せでした・・・。そのデートから帰宅後、報告を待っていたって詠までノリノリなんだもんなぁ(笑)
で、肝心の妹、桜ちゃん。兄とは言えなかったけれど彼女と会って、誕生日を祝って。あの涙には嬉しいと苦しいと切ないが混ざっていて言葉では表現できない気持ちにさせられました。生まれることさえ叶わなかったと思っていた妹が息をして歩いて笑ったり泣いたり生きていて。そうだよね、存在していることが奇跡だものね。
幼い萩之介の置かれた状況がかなりしんどい展開だったんだなぁ。母は遺体すらない、父は目覚めない、祖母は塞ぎ込み。よく捻くれずに育ってくれたよ。ちゃんと好きなのにギクシャクし続けたお父さんとのこれからが桜ちゃんも含めてあたたかさに満ちますように。将来の凛ちゃんに可愛い義妹が出来るのもなんだか感慨深い。
浅葱√後のハピエンめっちゃんこ好きでした。
「離して、いい加減にしないと怒るよ」「はい、ごめんねのチュー」「怒った!」かわいいいい!ツン気味な凛ちゃんと惜しみなく大好きを伝える萩之介かわいいい!桜並木道の春ってだけでじーんとしてしまうのにどの季節を迎えても私はあなたといたいという凛ちゃんの語りがなおさら感動を誘う。でもやっぱり最終的には可愛いんですよ・・・。彼氏アピールする萩之介「彼氏」という言葉は彼が一番しっくりするなあ。青春を感じるからかしら。
萩之介は付き合ってからが本領発揮だと思っているのでカプ語りが中心になってしまったような気がしなくもないです。FDプレイがめちゃくちゃ楽しみ。では最後にお気に入りの謡と詠の言葉を。「子どもに食べ物をねだろうなんて…狛犬としての誇りはどこにいった?」「うぐっ」数の子あげる優しい綴くん。
犬嶌詠
プレイしていく内にだんだんと(絶対詠SUKIじゃん察し)となっていく感覚はとても面白かったです。大雑把に好き要素を挙げると、人間嫌いの彼が凛ちゃんを特別に思うようになる過程、さみしがりやで誰より繊細な心を持っていていて「人間嫌い」は自身の心の防衛であること、冷静・無愛想なように見えるより何より想像以上に捻くれていて凛ちゃんへの態度や言動がちぐはぐなことです。
謡は与える印象より大人と言いましたが、詠はその逆で子供っぽい。神様も言っていたけれど、紅葉村と住まう人々を見守るという役目を謡ほど割り切って考えられない。兄は謡で弟は詠なんだなとこの√で強く感じました、それがまた良くて二人を好きになってしまう!
個別の入りのシーン、「女の子は素敵なシチュエーションち憧れるものなの!こういうホワイトクリスマスに、恋人と素敵な時間を過ごしたいって思ってるんだよ」「それ、具体的にはどういう風にしたい?」「え…?」(なんか近くない?)「早く言いなよ、こういう雪の中で恋人とどういうことをしたいって思うの?」「だからその、手を繋いだり、抱き合ったり…」「それだけ?他にはないの?」「キスとか…」「キス?」「それって…こういう事?」「なーんてね」
乙女の心を弄んだ罪は重いがときめいてしまいました。単純にその行為にもなのですが、その余裕がなくなるほど凛ちゃんのことを好きになっていく未来を想像してしまい。(悲しいのか悔しいのか分からない、ただ分かるのはとっても、物凄く、腹立つって事だ)この恋の予感、好きだ!
それと謡と凛ちゃんが仲良くしているのを見ていじけちゃう神社でのシーンも良かった。「俺やっぱり行かないから。お前たちだけで行って来れば?」子どもっぽい嫉妬。序盤で想像した未来がね、近づいているのがね、ふふ。
詠が凛ちゃんに恋してしまうのってあやかし編だからこそだと考えています。人間編の凛ちゃんとはきっといい友人、家族にはなれるけどそれ以上はないんじゃないですかね。人間として、心のあったかい部分を存在で示すこと、与えることと、物理的な距離の近さは二人の恋には必要だった気がします。なので、ずけずけと心に入ってしまうあやかし編の彼女でなければ傍にいたいって気持ちは芽生えなかったかもしれないなと思ったり。
昔の詠は笑うことも多く人間が傍にいると喜んでいた過去を見て、悲しみの縁が可哀想なほど人間が大好きだった、だから嫌いになったという裏返しで切ない。少年から青年、その先を見届けていた大事にしてくれた人間も詠と謡、あやかしからすると一瞬の生で。それを感じた上ての紅蓮とのラストのシーンは、すごく胸が痛いけどすごく良かった。「…俺、ニンゲンになりたい。あやかしなんかじゃなくて、ニンゲンになりたい」「お前と一緒に生きて、一緒に歳をとって死にたい」発狂したくなるほど好き。あの詠が人間になりたいとその口でいうのですよ。凛ちゃんが勇気を出したずっと一緒にいてくれる?っていう問いにすぐ死ぬくせにとか、先にいなくなるくせにという棘のある言葉を使って無意識に自衛してる詠が。ここにくるまで捻くれた態度と意地っ張りな言動でしか表してこなかった凛ちゃんが大切だという感情を一気に解放して、同じ存在で同じ時間で生きたいと言うのですよ。
嬉しいけど切なくて悲しくてでもやっぱり嬉しい。一緒にいてやるから長生きしよろって言葉ももうですね〜〜最高!大好き!寿命が尽きたその時を考えてしまうと悲しいけれど、吟さんの素敵な考え方を真似て沢山の幸せな思い出を作って下さい・・・詠だけじゃなく謡も、蘇芳も。 ちなみに紅蓮のような俺様タイプには惹かれないけどもこういう人が弱みを見せる所は好き。振られてしょぽぽんってなれば良かったのに〜(笑)いい人見つかるといいね!
で。浅葱攻略前のベストエンドです。ここまでくれば3月9日より先が無いことなんて分かってはいましたけれど、え…死んでる?死んでるの?(脳内ぽっかーん)てことは他の人たちも?死んでるの?
いよいよ浅葱√やるぞって気持ちで知った事実にこの時点で少し泣いてしまいました・・・あのあたたかな時間と人達はなんなの(涙)
伏線が辛すぎて浅葱攻略前に絶望という壁が目の前に立ちはだかった気分でした。
木邑浅葱
そんな気はしてたんです。ちゃんと恋愛関係で通じあってこれから二人で未来を生きよう!というエンディングがない、気はしていました。悲しい。けど、その先があって本当に良かった。あのままどうか幸せにって浅葱の願いで終えて凛ちゃんとの未来の欠片さえなかったらどうしようかと(泣)
やっぱり桜の木から生まれたあやかしだったのですね。(脱線しますがOP映像の花弁をふって吹く浅葱がめちゃくちゃ好き)なんで学生服?って思っていたんですけど、桜の木の記憶だからだったんですね。人間編の凛ちゃんが紅葉村にやって来たばかりの時に萩之介だったかな?制服をお洒落にしたって言ってたのってこの伏線だったのかとやられました。それとすっかり忘れていたのが引っ越してくる前の家でニュース、台風って、土砂崩れって確かに言ってた!絶対関係あるやつでしょって考えていたのに萌えに萌えてすっかりぬけてたな。
紅葉村の真実を知っておりどの√での記憶もある浅葱が見守ってきた凛ちゃんの輝きは紛れもなく彼の胸を痛めつけ、同時に愛おしいと思わせるには十分だったのでしょう。彼は何時だって優しい目をし、彼女といることが楽しそうでした。(君が怪我をしないように、悲しまないように、そう思う僕の気持ちは何と呼ぶのだろう)(君だから何かしてあげたいと思う、君が悲しむ顔を見たくない。そう思ってやまない自分の気持ちは何なのだろう)恋についての二人の会話で浅葱の気持ちが無意識に、でも確実に恋愛に向いていて振り返るとやっぱり切ないしかでてこない。胸の高鳴りを知らない彼はそれが恋だと気付いていない。気付いていたとしたらそちらの方が残酷かもしれませんね。
もちろん紅葉村の外の世界は知らないわけで、いつかここじゃない何処かに行きたいと叶わないと分かっていて想像してしまう世界はどんなものなんでしょうね・・・。ループのための存在でありループの終わりが自分という存在の終わりで。ありもしない“もしも”で膨らむ凛ちゃんとの外でやりたいことについての会話が好き。凛ちゃんと散歩がしたいというささやかな夢が彼にとっては壮大な夢であるのが苦しい。
人間である美緒と山彦のあやかし想の物語では何を伝えたかったんだろうと考えた時に、人間とあやかしの壁についてはこれまでの狛犬や猫又に教えてもらっていたのでメッセージ性としては弱い。では何か。想のこの台詞、「見守るだけ。幸せにすることができなくても危なくなったら助けてあげることが出来るかもしれない。それだけで十分なんだ」にぎゅって詰まってる、つまり見守る恋。胸を躍らせるだけではなくそういう恋があることを示した上で、結果的に美緒は想を受け入れ両方想いから両想いで報われます。プレイ中はそんなに深く考えていませんでしたが終えてみると浅葱と凛ちゃんの恋を連想させるものになっていますね。はぁ・・・お上手、好き。
自分が存在できないことが分かっていて、災害の起きない未来を掴む方法(くーたんの目)を見つけてもすぐには行動を移せないほど『今』に居たくて、それでも愛する紅葉村、そこに住まう者の未来と、彼女の幸せのために笑顔でその行動をする浅葱に感動しないわけがなかった。
唯一の直接的な告白は「僕は、たぶん君が好きだったんだと思う」、この台詞だけ。その言葉がどれだけ儚くて大切な想いが込められたものか、思いを馳せるだけで胸がいっぱい。最後の最後まで凛の幸せを願った彼の想いの先に、攻略後に開放されるエンディングがあるのがより感動を誘う。
もう一度会えて良かった。どうかどうか恋をして外の世界を凛ちゃんと散歩して、これ以上ないってしあわせで満たされる心地を何度も抱いて欲しい。(FD楽しみ)
補足感想
吟さんんん。吟さんほんと・・・悲しい。奥さん早くに失くしたのは受け入れるしかできない現実で、それでもきっと苦しみ苦しみ失ったものもあるけれど自身の胸に宿ったままの思い出と、支えてくれるスミさん、何より愛する存在である息子の存在が立ち上がらせてくれたのでしょうが。そんな穏やかな幸せを突然に天災に奪われた彼の絶望ははかり知れません。OP映像で桜の花びらが舞う中、攻略対象のキャラと綴は紅葉の葉となって消えるのに吟さんが消えなかったのはそういう理由だったのですね。死者を表してるのつら・・・。(無印では浅葱も紅葉になって消えてるのは事情は違うけどそういうことだからかな)
吟さんの容姿問題はずっと疑問だったので触れてくれて良かった。10年が限度、そうだよね。容姿が老いない彼が人間の世界で誰かと共に居続けられる場所ってないよね。スミさんと富蔵さんとの出会いで死に場所を見つけることが出来た当時の彼はとてもとても幸せだったのだと思います。余談ですが『ギン』の名付け親が真夏なことと、富蔵さんが大吟醸の『吟』表記を与えたの心あったまる~。
生き残ったあやかしたちも記憶を残したまま何度も初めての感情を繰り返して。特に百ちゃんと氷雨はしんどいね、大切な誰かを失うことは悲しい。
周回プレイをする中で、『夢』というワードが出てくる会話や語りの変化が面白かったし、正直ループしてるなっていうのは二周目で分かっていたんですけどそれでもなす術もない現実を突きつけられると深い溜息が出ました。
狭霧「この時が来るとは分かってても、この夢は辛い…」「辛い事は幾度繰り返しても辛いんだと、今さら知ったよ」「早く自由になるといい。凛も、彼も、私達も…」
氷雨「この夢は希望に満ち溢れているようで残酷な夢だわ」「それでも夢を見ている間は、幸せでいられる…」
タヌ吉「願わくば、夢から覚めても幸せでいてほしい。そう思ってしまうポン…」
ラリー「見守るだけっていつのもしんどいものだな」
浅葱√のバドエンですが皆が力を合わせて凛ちゃんだけでも災害の起きた時点のループの外に送るというものでしたが凛ちゃんが大切だから、生きていて欲しいから、それが分かるからめちゃくちゃきつい。紅葉村でのことが全てなかった、吟さんのおいしいご飯の味も忘れたまま。生きていれば何が起きるか分からないといえばそうですが、人間編の彼女が彼らなしに孤独を埋められる未来は想像できないし、あやかし編の彼女は上手く生きていくのかもしれませんがどこか違うという違和感を抱えて生きることになりそう。辛い。
あと共通バッド。何度も綴の誕生日パーティーの準備してきた吟さんを思うと心が痛すぎる。息子の成長を見届けられない世界・・・鬼畜。その分おまけシナリオでおめでとうって言えたことは喜びで頭抱えました。可愛い大好きなつーくんの8歳のバースデー、うるうる。
それと神様に『ONAKASUITABOY』と書かれた洋服献上したひとは出てきてください。お姉さんがケーキ買ってあげますから。
おわりに
想像していた通り、すっごく楽しかったです!やっぱり大好きな作品でした。ささやかなことを大切に思わせてくれる作品でしたね、何度も言う、大好き。
どのキャラも愛すべき魅力あふれる存在で愛おしい。FDをすぐにプレイしてしまうのはもったいなく思えて他作品挟んでからじっくりプレイしようと思っています。公式ブログをちょろっと眺めているとファンディスクというより続編に近い形とあったので、その先の物語にもきっとすれ違いや乗り越えなければならない障壁が待っているんだろうなと考えていたワタシはより楽しみです。聞きましたところバッドエンドもあるらしいですね!それはもう本編では。
毎度のことながら長々と語ってしまいました、お付き合いありがとうございました。いつか紅葉村のような場所に足を運びたいな。では。
ちよこ